第791回 「マイホームが持つ二面性。居住性と資産価値」

 

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Contents ●物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ

●不動産売買は営業マンの営業力やヤル気次第

●高く売るコツは? ●実は何より大事なのは売主の印象

●物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ)

●本当に専任媒介がいいの?   その他

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買ったマンションが値下がりして売るに売れないことになっては困る。儲からなくてもいいが、大きな損失は避けたい。このような本音が多くの買い手にあるようです。

今日は、この本音に迫ろうと思います。


●家は生活の基盤とともに資産の側面もある

家は生活の基盤であると同時に資産でもあるので、どうせ買うなら資産形成に役立つ方がいい、そう考える人は圧倒的に多いのです。

 

サラリーマン諸氏に目を向けて言うならば、定年は第二の人生の始まりであり、かつ長いので、悠々自適の暮らしを送りたければ今から対策、すなわち資産形成を図ることが大事だと思うようです。

 

 年金が十分にもらえない時代が来るかもしれない、そう不安を漏らす人も多いようです。また、配偶者に先立たれ、子供の世話にもなりたくないとするなら、何が何でも早い段階から資産形成を図る必要があるとも考えるのです。

 

資産形成は一朝一夕にはできないのですから、スタートは早い方がいいとも言えます。

 

どのように図るべきでしょうか?爪に火を点すような生活をしながら貯金を殖やすのもひとつですが、それができない人も多いと思います。しかし、株式投資もFXもギャンブル。怖い一面があります。

 

投資するにもタネ銭がなければできません。それに、本業そっちのけで投資行動にのめりこむわけにも行かないでしょう。片手間で儲けられるほど甘い投資話が世の中に転がっているとも思えません。

 

そんな中、比較的少ない資金で、かつ安全に資産形成ができるのが「ワンルーム投資」だと喧伝され、それに乗ってしまう人も多いと聞きます。巷間、ワンルームマンション投資のセミナーも頻繁に開催され、聴きに行く人も多いようですし、過激なタイトルの書籍も数多く出版されています。

 

しかし、これにも欠陥があり、思惑通りにはならないのです。筆者は、自分の経験も踏まえて「ワンルームマンション投資は危険が一杯」という書籍(廃刊)を出版し、警鐘を鳴らしたこともありました。

 

不動産投資が他の投資や利殖手段と決定的に違うのは、低利の「住宅ローン」が使えることです。最近は頭金も登記料などの諸費用も、まるごと銀行が貸してくれる金融環境にあるわけですから、これを利用しない手はないと考える人もあるようです。

 

しかし、繰り返しますが、「ワンルーム投資」は危険です。筆者の勧める不動産投資は、価値あるマイホームを持つこと、「住みながら儲ける策」です。

 

しかし、資産形成といってもマイホームは売らなければ損も得もないのです。なぜ資産形成を意識する必要があるのでしょうか? そう、いざというとき多額の現金に化ける可能性があるからです。

 

換金したら住む家がなくなるのではないでしょうか? しかし、例えば、筆者がそうしたように、都区内のマンションを売って郊外に引っ越しするとお釣りが来るのです。地方都市(故郷など)の中古住宅なら、タダ同然で購入できるものもあります。

 

考えられる深刻な問題としては、自分または配偶者がひとりになって、有料老人ホームに入居しようとして探すと、気に入った施設は入居金が高いかもしれないことです。しかし、そんなときでも資産があれば選択肢が広くなって深く悩まずに済むことでしょう。

 

海外で暮らすご夫婦も少なくないようです。筆者の古い知人夫婦も豪州で暮らしていますが、移住先は東南アジアが多いとも聞きます。ハワイ移住者の実例もときどき見聞きします。

 

定年後に長く続く老後の暮らしを不自由なく送るには、それなりの現金がなければなりません。そのために退職金を当てにしたり、コツコツ貯金をして行ったりすることも方法ではあるのでしょうが、知らず知らずのうちに資産ができてしまうという「安易な道」の不動産投資、すなわちマイホームを購入することが最も確実な方法なのです。

 

何が安易なのでしょうか?貯金は苦手、あればつい使ってしまうという人、貯金はしているが何やかやと物入りがあって計画通りには貯まらないという人、転職や転属で収入が減り、計画が狂ったという人など、貯蓄の現実は難しいものです。

 

これに対し、住宅ローンはいやでも返すしかないので、いつの間にか残債は減って目に見えない形で資産ができて行くからです。「住宅ローンは強制貯金」と説明した人がありました。金利が低い今日、毎月の返済は大半が元金返済に回るので、着実に資産が増えて行きます。

 

マイホームを住宅ローンで購入すると、ローンが完済できた暁には何がしかの資産が残るわけですから、賃貸マンションに住み続けることと比較すると「購入」に軍配が上がります。換金した金額が5千万円になったか、1千万円にしかならなかったかの差はあるものの、賃貸マンション住まいの人には絶対に得られないものです。

 

ボロボロの借家にただ同然の家賃で長く住み、その間に巨額の貯蓄をすることに成功したという人がいるでしょうか? もし、そのような人がいれば、借家住まいも資産を残すことができるという反論になるでしょうが、現実的な話ではありません。

 

借家暮らしは家主の資産形成に貢献できることができても、自分の資産をつくることには雀の涙ほども貢献しないのです。

 

既にマイホームをお持ちで住み替えを考えている人にお会いする機会が増えましたが、特筆できるのは、現在住んでいるマンションを売らずに買える人たちが多いことです。

「新たに買う予定のマンションの資産価値」についてと、「今の住まいは売るべきか保有し続けるべきか」というセットのご相談が多いことが新鮮です。

 

話を戻しましょう。こうして資産形成を図って行くとして、1000万円よりは5000円の資産を手にする方が良いことは言うまでもありません。

 

大事なのはここからです。ここまでは、ローンを返し終わったときの話です。終わっていないにしても殆ど終りかけている場合です。

ローンが多額にある段階、例えば35ローンで組んだローンが25年も残っているようなときに住み替え事由が発生したとき、資産が資産でなくなることもあるからです。

つまり、追い銭を払わなければローンの精算ができないこともあるというリスです。頭金2なり3割なり入れて購入した人の場合には、追い銭は要らないかもしれませんが、だとしても、売却後の手残りが殆どゼロでは次の行動資金に事欠くことになりかねません。

 

とすると、やはり売却によって手許に大金が残り、次の住み替え先の購入代金(頭金)にプラスとなるような物件を選択しなければなりません。

 

転勤がない人でも、何かの事情で住み替えの願望や必要は出て来るものです。一番多い理由は、「手狭になったから」というものです。3LDKにしておけば、住み替えを考える手間もかからないと考える人もありますが、3LDKにも広さはピンとキリがあります。

 

70㎡に住めば、次は80㎡くらいの広さが欲しくなるものです。子供ができる、できないで多少の違いはあるものの、長く住めば荷物も増えるものです。

 

それ以前に、広さを求めると毎月の負担が重くのしかかる不安が生まれます。その不安を緩和するために安い物件を求めれば、きっと交通便や環境に問題のあるマンションになるかもしれません。

広さを優先して立地条件の悪い物件を選んでしまうと、売却時に失望する確率が高くなります。有利な売却ができるかどうかは、その後のライフプランを大きく左右する問題です。

 

こうして考えて行くと、マンション選びは究極のところ「将来価値の見通し」を立てておくこと、言い換えると、リセールバリュー」を考えて購入すべきであるという所に行きつくのです。「マンション選びは資産価値の視点が不可欠である」と言えます。

 

●売らなければ損も得もない

35年以上前(1983年以前)にマイホームを買った人の多くは、バブル期に大きな値上がりを体験しました。タイミングや購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いたものです。

 

しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。むしろ、固定資産税がアップしたことで苦々しく思った人もあったはずです。

一方、売却した人は、高値に驚くとともに、手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。

ただし、その資金で、もっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。 売却した場所の近くは同じように値上がりしていたため、売却して得た資金に(新たなローンなどで)予算を上積みしなければランクアップした家は買えなかったからです。

 

反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の極端な値下がりを体験することとなりました。何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかりました。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったからです。いわゆる追い銭が必須でした。

 

その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。しかし、売却を断念した人は、含み損を抱えてしまったものの、損失が確定しないで済んだということになります。

 

ここまででお分かりいただけるのは、売却しなければ損も得も表面化しないということです。

 

矛盾するようですが、最悪の場合は換金を当分の間だけでも諦めることです。といっても、そのマンションが打ち出の小槌のようにキャッシュを生み出すものであって欲しいものです。つまり、賃貸がしやすいことが大事です。

 

そのためには、地域一番でなくても駅から近いなど貸しやすい条件の物件を選んでおくことが必須となります。賃貸マンションの借り手は当座の仮住まい意識が強いので、狭くても便利な住まいを優先するからです。駅に近いほど貸しやすいと覚えておきましょう。

 

●住宅ローンが終わったときの正味資産

  建物の劣化が進めばマンションの価値も低下します。しかし、朽ち果ててしまうことはないので、居住者があって、管理が普通に行われていれば、最長の35年ローンを組んで買った場合でも、完済時の正味資産は結構なものになるはずです。

 

 買った(または買おうとしている)マンションの周囲の中古マンションの価格を調べてみましょう。新築で買った自宅の35年後価格を知りたければ、築35年前後のマンションの価格を見れば目安になります。 

 例えば、世田谷区の新築マンションで70㎡を7000万円で購入したとします。調べてみると、近くで35年前に建てられた中古マンション70㎡が5000万円で販売中と分かりました。築35年でも結構高いものだと教えてくれるでしょう。

 

 35年後は、相場が上がっている可能性が高いのですが、仮にこのままであっても住宅ローン完済の暁には5000万円のキャッシュが残る可能性が濃厚です。少なくとも4500万円にはなりそうだなどと期待できます。それより多ければ、おまけと考えればいいでしょう。

 

築30年のマンション80㎡を5500万円で買った場合はどうでしょうか?

35年後には築65年となります。これだけ古いマンションは、今はまだ存在しません。しかし、築50年くらいの物件は市場に出ています。耐震性の問題があるものの、目安としては使えるでしょう。

 

近隣に4900万円というのがあるではありませんか(世田谷区の実例)。随分高い。本当か?よく調べてみたら、リフォーム済みとありました。そうか、リフォーム前なら500万円くらい安いのかなあ?それとも1000万円安くらいか?1000万円だとして3900万円?それでも結構高い。 5500万円で買ったマンションに35年住んで3900万円なら悪くない・・・・・こんなふうに思えるのではないでしょうか?


 いずれにしても、35年でこんなに多額の貯金ができる、自分で住みながらの結果です。マンションは資産形成に大きな力を発揮することがお分かりいただけるはずです。

 

●ローン完済の前に売る場合はこうなる

 35年住み続ける可能性は低いと思います。買ってから10年後なり15年後に売る場合はどうなるのか、そのシミュレーションもしておきましょう。

基本的には「売却価格が大きな下落にならなければ、ローンの残債を精算しても手許にキャッシュが残るはずです。15年後に売る場合で考えてみましょう。

 

705000円で購入したとします。

15年後の売却を想定し、15年後のローンの残債を調べました。固定金利1.2%の場合で35年返済の場合、38%も減ると分かりました。

 

毎月の返済額は、頭金なしのフルローン5000万円の借り入れで約145,000円です。管理費と修繕積立金、及び固定資産税の月割り額の合計が約55,000円として、合計負担額は20万円/月としました。

この地域の賃料は、同程度のマンションを借りたとすると20万円では済まないことが分かっていますが、ここでは返済額と賃料を同額とします

 

これを15年後に売却するとして、ローンは38%減って3100万円しか残っていません。とすると、仮に仲介手数料差し引き4100万円で売れたとすれば1000万円のキャッシュが残ることになります。

購入時に仲介手数料と諸費用で別途250万円払ったので、その250万円が1000万円に増えて戻って来たようなものです。言い換えれば、15年の間に750万円もの利息が付いたことになります。

 

しかし、売値が3100万円にしかならなかったら、つまり38%も下がったら手許に残るキャッシュはゼロです。この場合は、賃貸マンションに住んだのと変わらないことになります。

 

4100万円で売れるという仮定は、5000万円の買い値から見れば、18%の値下がりです。それで済むのか、もっと下がるのか、カギはその点に尽きます。

 

結果は物件固有の条件によって変わります。市況の如何に関わらず購入物件によってリセールバリューは大きく異なるのです。

筆者の研究では、東京都だけでも一定期間50%も値上がりした物件と50%も値下がりした物件がありますし、都心の同じ駅の物件比較でも30%上がったものと10%しか上がらなかったものがあるのです。

 

●都心のマンション・郊外のマンション

全国的な視点でマンションの価値を比較し、それを端的に価格で表せば、どなたも想像できるように東京都が最も高く、地方都市は安いということになります。

 

何億円もする高額なマンションを建てても、それを購入する人が現実に多数存在する東京。7000万円も8000万円もしながら70㎡あるかないかの広いとは言えないマンションを購入できる高所得のサラリーマンが何万人も住む東京。

 

30年を経ても、億ションであり続ける中古マンションも存在し、それでも買いたい人が直ぐに現われる東京の中古マンション市場。

対して、3000万円の予算があれば、80㎡の広さを手に入れられる地方都市の新築マンション。職住近接で便利な立地にありながら、安価な地方都市の中古マンション。

 

東京にいる者から見ればうらやましい限りですが、東京に職場を持つ以上、地方都市のマンションに価値を見出すことはできません。

 

同様のことが、東京圏の中でも言えるのです。東京の外周部のマンションは都心に比べれば安価です。新築もそうですが、際立つのは中古です。

 

都心の中古マンションの価格が新築対比で80%以上であるとき、同程度の建物価値があると見られるマンションでも、郊外では近隣の新築対比50%以下などという例は特別なことではないのです。

 

例えば、千葉ニュータウンに行けば、新築も安く4000万円で80㎡のマンションが買えますが、中古は築10年で80㎡が1800円程度、つまり新築対比50以下で買えるのです。

 

このように、都区内の新築が5000万円であるとき、同程度の中古は4000万円以上、街によっては4500万円もしますが、郊外では新築が4000万円する中、中古は2000万円と格安に買える例がたくさん見られます。

つまり、東京圏の中にも東京と地方があるようなものです。

 

こうした実例データを拾って行くと、マンションの価値は立地条件によって大きく異なるものであるという結論に簡単に辿り着きます。なかんずく、中古マンションは都心と郊外の差が大きいのです。

 

●立地条件の良し悪しを測る基準

立地条件が良いとか悪いとかは、どのような基準によるのでしょうか?

ひとつは、先に述べたように、居住者の生活圏(通勤や通学)によって立地条件の良し悪しが判定されるという「個人的な尺度」があると考えられます。通勤・通学の他には、「実家が近い」が典型的な個人事情です。

 

二つ目は、普遍的な意味、言い換えれば「大多数の人が考える基準」があります。大多数の人が良い立地と見るマンションは、言い換えれば人気の場所ということになり、需要ボリュームも多いことを意味します。

 

交通便、買い物等の生活便、環境の良し悪し、治安等、「居住快適性」と、豪雨や地震・津波など「自然災害への抵抗力」などを含めて人気の高い街とそうでもない街というランクが存在します。

 

恵比寿、吉祥寺、三鷹、横浜、自由が丘、武蔵小杉、二子玉川、広尾、中目黒、代官山、神楽坂といった街は、新聞・雑誌によく登場する「首都圏の住みたい街ランキング」で上位に来る街として知られています。

 

人気がある、すなわち需要が多ければ価格も上がる。ごく自然なことです。人気の高さを分析すると、以下のようになると考えられます。

<マクロの基準>

  郊外よりは都心の街・駅が望ましい・・・・・郊外でも横浜、大宮、八王子、立川、千葉といった比較的人口・経済規模の大きな都市は地元ニーズの多さに支えられ、比較的高い評価につながるのです。

 

②都心直結の幹線鉄道(都心へ直接アクセスできる鉄道)の駅が望まし・・・・・中央線・総武線などのJR各線、新宿・渋谷などを起点にする私鉄の各線が良いのです。枝分れする路線・支線は避けたいものです。

 

  各駅停車より急行停車駅が望ましい・・・・・移動時間が短く便利である方を人は好むものです。

 

  駅力(えきりょく)の高い駅・街が望ましい・・・・・駅を中心に買い物施設、エンターテイメント施設、個性的で多種多様なレストランやお洒落なカフェなどが豊富に出店していて、賑わいのある街、ただし風俗店がない街(駅)が望ましい。住みたい街・住んでみたい街ランキング上位に登場する人気の街が該当します。

 

<ミクロの基準>

  駅からの距離は徒歩5分以内が目安・・・・・傘なしで玄関まで到達できる駅直結が理想的。ただし、駅に近い場合、電車騒音、高層ビルの密集による開放感の欠如、日当たりの悪さなどがマイナス評価となることもあるので注意を要します。

現状は問題なくても、隣地が比較的規模の大きな駐車場であったりすると、近い将来高層建物が建つ可能性がある。その可能性が一目で分かるような立地は評価ダウンです。

 

  駅から徒歩10分は超えないことが重要(5分以内が理想・・・・・稀に10超でも許容できる物件があるとしたら、遠さを補って余りある長所を有する場合です。

例えば、アプローチが(理想はアーケード付きの)活気ある商店通りであることや、街路樹が整備された美しいシンボル的な通りであること、または到着したマンションの前が樹木の生い茂る大規模な公園になっているとかオーシャンビュー・リバービューが圧巻である、大規模なショッピングモールに隣接するといった場合が駅からの距離の長さを補ってくれます。

 

緑豊かで閑静な住宅街の中という立地条件にあれば、言うまでもなく利点・長所となりますが、駅からの近さとは両立しないことが多いものです。上記のような圧巻のアプローチや眺望条件などを持たない場合、「好まれるのは駅近」の方です。

 

  アプローチ道路は、車道より一段高くなった歩道付きが望まし・・・・・次がガードレール付き。白線のみの歩道は評価ダウンとなります。

 

④買い物便:大型スーパー、ホームセンターなどのほか、専門店が揃っていることが望ましい

 

小学校までの距離が近いこと、通学路に危険な道がないかどうかがキーポイント・・・・・郊外のマンションによく見られるのは、小学校まで子供の足で30分もかかるという物件。広告表示は大人の足で〇〇分とあるので注意したい点です。

 

高台か低地かも重要な評価要素・・・・・言うまでもなく高台が高評価となりますが、その代わり坂道を上り下りしなければならないので、程度問題でもあります。

 

●駅力が決め手

「資産価値を左右するのは街・駅の人気度」と述べました。人気のある街を「駅力の高い街」とも言います。

駅力とは、マーケティング用語です。簡単に言えば「駅・街が栄えているかいないか」という指標のことです。指標と言っても、いくつかの項目ごとに大雑把に5点満点で採点し、その合計数値と考えてもらうといいでしょう。 ABCの3ランクで採点している例もあります。

 

項目とは、①生活利便性(買い物や飲食、娯楽、医療施設、保育所などの充実度)、②当該駅の乗降客数、③賃貸マンションの賃料水準、④劇場やミュージーアム、大学などの数などから見る文化度、公園などの緑地の多さなどです。

この指標は必ずしもオーソライズされたものではなく、調査機関が独自に定めたものです。

 

いずれにしても、マンションの価値は、立地条件で決まると言って過言ではなく、資産価値に占める立地の比重は非常に大きいのです。

 

都心の高級マンションは建物が高級という意味だけではなく、高級住宅街という高価で得難い場所にあることが条件です。極端な言い方をすれば、富裕層が金に糸目をつけずに欲しがるような立地であること、そして建物の高級感も同時に求めるからこそ生まれる稀少価値ある高級・高額マンションとなっているのです。

 

最も有名な街は「麻布・青山・赤坂」の3A地区と白金、高輪、三田(以上、港区)、広尾、松濤、代々木、神宮前(以上、渋谷区)、番町、九段、麹町(以上、千代田区)などで、これらの街にある高級マンションの場合、中古の80㎡が1億5千万円もします。

 

都心の高級住宅街は、最寄り駅が必ずしも賑わいのある街というわけではありません。商店も飲食店なども十分に揃っているとは言えません。

それでも、限られた階層しか住めない街であることや、緑が多く環境の良い街、各国の大使館が集積しているために治安が良い街などに優越とステイタス、プレスティージュを感じるのでしょう。

 

これに対し、「住んでみたい街ランキング」などの上位に位置する外周部の街の共通点は、駅を中心に買い物や飲食、広場、エンターテインメントなどの各種施設が豊富に揃っていることが特徴です。つまり、駅力が高いのです。

 

新規開発が難しい駅・街で、たまに注目を集める大規模で優良なマンションが売り出されます。

マンション開発に向くような空地がない街のこと、そのマンションは言わずもがな再開発案件です。既存ビル・住宅等の建て替えです。

 

といっても、土地をデベロッパーが買収して開発するわけで、稀少価値が高い土地だけに引く手あまたの競争となり、入札方式で高値を付けた企業が取得するか、売り手(土地の所有者群。再開発組合)の強気な条件を呑んだ企業が選ばれたりします。

 

高値で土地を買えば、マンションの売値も高額になります。しかし、それでも採算が取れると判断して高額の札を入れるデベロッパーは少なくありません。

言い換えれば、高くても売れると考えるのですが、その自信の根拠は「駅力の高さ」と「有力な競合物件がない」ことにあるのは言うまでもありません。

 

駅力に関して、誤解のないように補足しておきます

都心の地下鉄の駅は、駅前にはこれと言って大きな施設がない、飲食店もまばらに見られる程度といった街があります。それでも価格の高いマンションが多数ある、新築は滅多にないが、有名なマンションもあって、高額な取引事例が少なくないという街が存在します。これはどう考えればいいのでしょうか? 

都心は最寄り駅の前でなくとも、徒歩10分圏内に複数の駅・路線があり、少し足を伸ばせばBIGターミナルも控えています。四方八方に何でもある。生活の楽しみに事欠かないからです。

 

●人気が衰えない鉄道・避けた方がいい鉄道

マンションの価値が高い立地条件のひとつは「駅近」であることですが、駅近といっても、駅がどの駅なのか、またどの沿線なのかによって随分差があるものです。ここでは、鉄道沿線の価値について述べます。

 

幹線鉄道と枝線鉄道>

幹線鉄道は言うまでもありませんが、枝線鉄道とは聞きなれない言葉かもしれません。筆者は主要鉄道から枝分かれしている鉄道のことと定義しています。

 

枝線には、ふたつの種類があります。主要鉄道の駅で乗り換える必要があるものと、二股に分かれるが、乗り換えなしの直通電車の運行線があります。ご存知の通りです。

幹線鉄道を補足すると、東京都心とダイレクトにつながる鉄道ということです。

 

いずれにしても、ここからの話は東京都区部のことではなく、首都圏の郊外都市を念頭に置いての記述であることをお断りしておきます。

 

<枝線マンションの価格は本当に安いか?>

マンションの価値を考察してみると、枝線は概して分譲価格が安いものです。従って、安いマンションを探したい人は乗り換えを要する枝線の駅の周辺を探せばいいということになります。

 

何故安いか。その理由は簡単です。地価(土地の取得費)が安いからです。建築費は幹線鉄道側でも枝線側でも変わらないのですから。

 

問題は安さの度合いです。マンション価格に占める土地費の割合は、郊外では30程度ですから、ここがゼロになれば分譲価格も30%低いレベルになりますが、実際はゼロでないので、幹線側の土地代に対して半値で取得できたとします。

としたら、分譲価格は幹線鉄道のマンションの15%安に下がるに過ぎません。

 

それでも15の差は大きいと言えます。郊外の幹線鉄道駅で4000円のマンションに対し、乗り換えて枝線に入ると、3400円になるのなら随分安いという感じがしますから。

 

逆に言えば、このくらい安くできた物件は販売も順調に進みますが、そこまで安いという印象がなければ苦戦してしまうのです。さらに、乗り換え駅から5つも先の枝線の駅ではまた違った印象になることでしょう。

価格の「高い・安い」の差は、買い手の心理的な要素が大きく、一律に判定する公式のような物は存在しません。

 

不動産価値の判定方法には、「取引事例比較法」や「収益還元法」などといったものがあるのは確かですが、マンション事業者が価格を考えるとき、あるいは土地を買うときの参考指標は、先発マンションの価格と売れ行き実態なのです。

 

先発マンションより高い価格に試算される案件であっても、建物のプランニング次第では好調に売れてしまうものであり、つまらないプランニングであれば反対に他社並み価格でも売れ残るという経験をデベロッパーは持っているのですが、この点はアバウトです。

 

枝線マンションは一見すると確かに安いのですが、安くても価値に見合う安さのマンションかどうかというと、割高な物件が多いのです。このために、完売するまで長い時間を要してしまうようです。

 

●差別感という視点・感動という視点

 マンションの価値を考えるとき、「差別化」または「差別感」という視点が適切です。また、「感動があるか」という視点も大事です。

 

   差別化された(明確な差別感がある)物件であるか?

希少価値という表現でもよいのかもしれません。「隅田川テラス沿い」、「吉祥寺公園の最前列」、「東京タワーが目の前」、「眼下にレインボウブリッジ」といった景観、「傘が要らない駅直結の立地」、「ターミナル駅へ徒歩2分」などといった環境・景観・交通利便性がどれだけ希少な物件かというチェックが必要です。

 

 似たり寄ったりの外観が並ぶ中に、ひときわ光る個性的な外観デザインのマンション、14階以下のマンションが立ち並ぶエリアに50階建てのタワーマンション。

 前面道路から20メートルも距離がある位置にエントランスがあって居住者以外は近寄りがたい雰囲気のマンションなど、建物の形状や規模などで周囲のマンションに圧倒的な差異を創り出している物件なのかどうかをチェックすることも重要です。

 

   感動を与えてくれる(与え得る)要素がある物件か?

結局のところ、売却に際して内見者をいかに感動させるか(感動してくれるか)という視点で購入しようとしているマンションを見ることなのです。感動要因が数多く、つまり「すごい・素敵」を連発させられるかがカギになるというわけです。

 

たくさんの感動を与えることができるマンションなら、売り出した価格から殆ど値下げすることなく(希望価格で)、しかも短時間で売却が実現できるのです。

 

●他人目線で見ることの大切さ

感動を与えられるかどうかという検討は「他人はどう思うか」という視点と言い換えられます。資産価値とは、「リセールするときに他人はどう見るかという視点」にほかなりません

あなたにとって好条件の良いマンションであっても多くの他人が評価しないマンションはリセール価格に期待は持てないのです。

 

例を挙げると、自分は「無駄な共用施設がないマンションだからいい」と考えても、他人は「付加価値が高いマンションがいい」と考えていますし、「内廊下で角部屋。通風・採光ともに優れている」と惚れても、「ワンフロアに3戸しかないマンションは細身で貧相に見えるので素敵なマンションと思わない」人も多いのです。

 

その意味で、他人がどう思おうと一向に構わない。そう考える人は別ですが、客観的な評価として良いものは良い、問題ある部分はここだとズバリと論評をしてくれる筆者のような第三者に聞くのも一考です。

 

自分の好みとライフスタイル、家族構成、通勤の便などから選びたいマンション、無論、予算という問題もありますから、優先すべき点、妥協すべきことなどをわきまえて候補物件を絞っていくはずです。

しかしながら、そのとき「資産価値=リセール価格」という視点をうっかり忘れてしまう人は少なくありません。また、リセールバリューを見落としているわけではないが、どの程度の価値になるのか、それが分からないという人も多いのです。

 

問題は前者です。自分の物差しだけで決めてしまう人は、自分目線しか持たない人だと思うからです。 

他人がどう思おうと自分が惚れて選択し、快適に暮らすことができそうなマンションを買う。それでいいではないか。そう反論する人もあります。確かに、マンションは売らなければ損も得もないのですから。

 

ところが、何らかの事情で売る必要が起こった場合、そこで初めて損得がはっきり出てしまいます。10年とか15という時間が流れてから後悔したり、落胆したりすることは避けたいものです。

そのためにも、購入時に他人目線で購入マンションを眺めてみることが大事です。

 

筆者の「マンション評価レポートは、見ようによっては「辛口批評」なのかもしれません。様々な感想をいただきますが、落胆したと言われることもあります。読み手(依頼者)にとって惚れたマンションだけに、けなされたり、貶められたりしているような印象になるのかもしれません。

 

誰が見ても最高の物件なら迷う人はいませんが、そのような物件がないからこそ筆者に評価を依頼して来たり、意見を求めて来たりするわけです。何かしら問題や懸念材料があるからこそ悩み・迷うのです。

 

筆者は当然、懸念点・問題点を無遠慮に指摘します。ゆえに、惚れて目がくらんでいる人は、気付いていない部分を指摘されてグサッと突き刺さるのかもしれません。

しかし、それが筆者の使命だと信じています。「あなたは正しい決断をしようとしています」と言えば、きっと喜んでくださるでしょう。何故なら、大半の依頼者は背中を押して欲しいとも考えているからです。でも、筆者は期待を裏切ってしまうことが多のです。

 

資産価値の客観的な視点で懸念点・問題点に気付き、時には一定の覚悟を持って買うのと、気付かないまま買うのでは全く違った人生になるかもしれません。

 

マンション選びのポイントは、資産価値だけが条件ではないこと、完璧な物件はないこと、住み手が快適さや満足感を得られるなら他人が何を言おうと関係ないことです

 

言い換えれば、自分が満足と思う物件なら、その選択が間違いとは言いきれないのです。 まして、そこに辿りつく過程で無知な判断をしたわけではなく、他人目線で欠点もリスクも認識したうえで判断した場合、そこに「後悔」はないはず、そう筆者は信じます

 

●みんなが損をする時期に自分だけが喜べる物件

マンション選びで最も大事な要素は「購入価格」にあるのかもしれません。価値に見合わない高値で購入(高値掴み)すれば、どれほど立地が良くても、また建物が立派でも将来価格は期待外れになるからです。

 

今(2022年)は2013年から続く高値の時期に当たっているので、例外なく高いマンションを買ってしまうことになりそうです。

 

反対に底値のような時期に購入した物件なら、次の上がり相場のときに売れば、平凡な物件でも値上がり益を得ることができます。

最近の売却者で2005年頃に購入した人は、購入価格よりびっくりするほど高く売れて喜んだことでしょうし、もっと極端には2012年頃(今般の値上がり前夜)に購入し、5年後の2017年に売却した人は20%も高く売れて(5000万円が6000万円になって)ホクホクだったはずです。

しかしながら、それでも物件格差が大きかったことは事実です。

 

不動産は一斉に同率で値上がりすることも一律に値下がりすることもありません。固有の条件によって、100万円しか儲からなかった人、1000万円儲かった人といった差ができます。みんなが損してしまうようなときも、自分の家だけは僅かだが儲かったということがあり得るのです。

同じエリア内においても高く売れる物件とそうでもない物件というように、物件格差は必ずできるものです。

 

タイミングによっては需給バランスが変わり、高値になったり安値に戻ったりします。

新築価格が急騰している時期に売り出すと、割安な中古に需要が向かうので、中古が引き上げられる恰好となって上昇します。今がそのときです。

固有の条件は「平凡」の域を出ていない物件であっても、期待できるのはこのケースです。過去にも、その恩恵に浴することができた人・物件は多いのです。従って、売り出しのタイミングが重要とも言えるのです。

 

結局、平均点以上の優良な物件(特に好立地の物件)を選ぶこと、そして他力本願的ですが相場が上がってくれること、この二つの要因によって購入マンションの将来は高い資産価値(換金価値)が期待できるということになります。

 

運の悪い人、つまりタイミングが悪い人は、相場の下落によって損失を被るかもしれないということでもあります。だからこそ、より価値ある物件を選ばなければならないのです。みんなが損する時期にあっても、自分だけが儲かる、少なくとも損を出さないで済むマンション選びに注力しなければなりません。


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