第792回 初めてのマンション購入・タブー集(第1回)

 

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Contents 物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ

●不動産売買は営業マンの営業力やヤル気次第

●高く売るコツは? ●実は何より大事なのは売主の印象

●物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ)

●本当に専任媒介がいいの?   その他

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今日は、どこから手を着けていいのか分からない人のために、マンション選びの基本的なこと、注意すべき点などを、またマンション選びで後悔しないためのコツ、言い換えると、多くの買い手が犯しがちな過ちの防止策について解説します。

 

●広い部屋を望むと失敗する

 最も犯しがちな失敗はここにあります。どなたも、広過ぎず狭すぎずと考えます。初めての買い手は、「子供ができて狭くなったから、または子供が一人増えて狭いからと広い家を探したが、家賃が高いので、これだけ払うくらいなら買った方がトクなのではないか」などと思いついて購入を検討し始めるものです。

 

 つまり、従前の家より広いことが条件になっているのです。その広さは、多くが70㎡と答えます。

 3~4人家族なら3LDKは必須に違いありません。その場合、予算が十分な人は別ですが、予算が足りない人はどうするのでしょう。道は、郊外の新築マンションか、郊外へ移転したくない人は中古マンションという選択になります。

 

 ここがカギです。予算が足りないために、うっかりすると手を出してはいけない物件を選んでしまいがちだからです。

 

 2人家族ならどうでしょうか?50~60㎡の2LDKでも間に合うはずです。ところが、子供ができたときのことを考えて3LDKを買っておきたいと考える人が少なくありません。

 家族の多い人は別として、大事なことは当面の10年住めればいいという発想を持つことです。

 

●2LDKなら10年は住める

今、2DKや2LDKに住んでいる人は多分思いつかない考え方だろうと思います。賃貸マンションや社宅に住んでいる人の大半が「もっと広い家に住みたいね」と夫婦で話し合っているからです。

 

一般的な4人家族だけでなく、子供のいない新婚さんまで、猫も杓子も703LDKを目指す、そんな傾向が首都圏にはあります。デベロッパーも、そのニーズに応えて可能な限り3LDKを供給しようと考えます。少なくとも、これまではそうでした。

 

しかし、都心では価格が高く70㎡を超えると8000万円、9000万円といった価格になってしまい、手が出ないという声も増えます。仕方なく、購買可能金額から逆算方式で面積を決めるという策に転じます。

過去の統計数字を見ても、価格が上がると面積は縮むという傾向がはっきりと出ています。

 

2013以降の価格上昇過程で、デベロッパーは面積の圧縮という策を採って来ました。その結果、2LDKが増えましたが、それを喜んで購入する階層も少なくないのです。

2DKを誰が買うかというと、いわゆるDINKS層です。

 

これまでは、新婚さんでも「子供ができたときのこと考えて3DK」を希望していました。

そう語る人には、「将来を見据えた良い考え」と褒めたいところですが、無理をする必要はないのです。今、一人目がおなかにいる状態か既にベビーカーに乗っている状態の家族でも同じですが、もはや希望エリアでは手が届く3LDK物件はないのです。 

 

としたら、郊外の3LDKを買いに行くか、都区内であったとしても好みでないエリアに行くしかありません。 ところが、それは嫌だとおっしゃる。そうであるなら、やはり2DKで我慢するしかないのです。

 

 我慢しろ、だって。とんでもない高いお金を投資して買うのです。渋々買うなんて。同じ買うなら夢のある買い物をしたいじゃないですか」こんな声が飛んできそうです。その通りです。しかし、ここは考え方の問題です。東京圏では割り切るほかありません。

 

子供に個室を与えるのは何年先か考えてみましょう。それまでは2LDKでも十分のはずです。2LDK、すなわち、子供部屋と夫婦の部屋の2室あれば間に合うはずです。 幼児のうちは2LDKなら、ひと部屋は余ってしまいます。

 

子供に個室を与えるときが来るから、そのときのために2LDKを選んだということになりませんか?

 

二人目ができたら困る。そうですね。でも、一人目が個室を欲しがるのは何年後でしょうか?しかし、その後二人目がすぐ追いかけて来るので、もう一部屋必要になるかもしれません。その時が来たら、いよいよ手狭になるでしょう。 弟妹(兄妹)が一緒の部屋は嫌だと言い出すかもしれません。

 

そうなったときが来たら買い替えればいいのです。お子さんの年齢にもよるでしょうが、まだ生まれたばかりなら10年は住める広さです。

 

この買い替え計画を実現させやすいのは、立地の良さです。立地を優先し、面積条件を落とすのです。 これは「●●街に住みたい」というアドレスを求める人にも当てはまる解決策です。

 

新築にこだわりを持ち続ける人は、2LDKでも予算オーバーという人もあるかもしれませんが、その場合は中古マンションも候補にすればいいのです。 ただし、新築志向が強かった人ほど、「できるだけ築浅の物件を」と思いがちですが、ここが注意点です。

 

築浅の中古は人気で、思ったほど安くないことに気付きます。品数も少ないのです。そこで、築浅というこだわりを捨てることが必要になって来ます。

仕方なく徐々に築年数の古い中古へと、選択の幅が広がって行きますが、基本はそれでいいのです。

 

●新築にこだわると失敗する

これまで何度か触れて来たので、賢明な読者はもうお分かりだと思いますが、新築マンションは数が減り、買いたい場所に身の丈に合った価格で分譲されることは少なくなってしまいました。

いくら待っても出て来ない、そう思って間違いはないのです。そうなると、中古を選択肢に加えざるを得ません。

 

新しい家に住みたい人も、あきらめざるをえないかもしれません。どうしても新しい部屋で暮らしたい人は、リフォームして自分好みに作りかえるほかないのです。

 

大掛かりなリフォームは予算も増えてしまうので、壁紙を替えるだけとか、ガス台だけ交換する、トイレを最新式のタイプに交換するといった部分リフォームにすればいいのです。それでも満足できるアイディアはあるはずです。

 

部分リフォームでは、古い設備が残るという問題もありそうですが、中古でも新築に負けない設備が装備されているものがあります。何より、中古マンションの方が間取りの良い物件が多いのです。

 

●根本的な誤り。それは安さの追求だ!

「郊外に行けば同じ予算で広くて新築が買えるよ」に騙されるなと筆者はいつも叫んでいます。

いろいろな方からメールをいただいたり、お会いしたりという毎日ですが、その中で感じることのひとつは、「安さの追求」という購入者心理です。不動産の場合、それはしばしば仇となるのです。

 

<安いマンションは値打ちがそれだけ低いことを意味する>

言うまでもなく、価値の低いマンションは価格が安いものです。都心より郊外は安く、都心の中でも高いエリアとそうでもないエリアがあります。

モノの値段は需要と供給の関係で決まります。とはいえ、そう単純に言いきれない場合もあるのです。新築マンションがこれに当てはまります。

 

新築マンションの場合、原価を構成する土地代は需要の多い都心で高く、需要の少ない郊外部では安いのです。郊外都市でも駅前商業地と駅から離れた住宅地では土地の値段に差ができます。

 

一方、もうひとつの原価である建築費はどうでしょうか?これは都心も郊外も大きく変わることはありません。ただ、敷地面積の狭い都心と比較的広い郊外では工事のしやすさから都心は高くなる傾向があります。郊外でも駅前商業地などは都心同様の高い建築費になってしまうのです。

 

つまり、新築マンションは価値と価格が不一致という場合が多いと覚えておきましょう。

 

一方、中古マンションは需要と供給の関係を如実に表すものです。原価がいくらかかったか(購入価格がいくらだったか)などは全く無関係です。 買いたい人がなければ限りなくゼロに近づいて行きます。買いたい人が多い、便利で価値あるマンションは、たとえ築後30年経っても1億円もするマンションがあるのです。

 

新築志向が強い日本国民ですが、そこに住みたいと思う場所に新築がなければ、高い値段の付いた中古マンションでも買う人があるのです。

 

私たちは、「価値あるものを安く買いたい」と思っていますが、「売り手は高く売りたい」と考えています。その綱引きの結果、自然に収まるべきところに収まるようにできているのです。

 

安い中古マンションは需要がないから安いのであり、需要の足りない地域にあるか、一定の需要がありそうな地域でも、品質の差によって需要が発生しない物件があるのです。

例えば、高速道路にまともに面していて居住性がすこぶる悪ければ買いたい人はいないでしょう。いても少ないはずです。

 

しかし、便利な都心にあって二重サッシになっているマンションなら、窓を開けられないデメリットと価格を天秤にかけながら選択する人がいて、結構な値がついたりします。

 

<価値に見合う価格か?>

新築も中古も、その価値に見合う価格かどうかを見極めることが重要です。中古は収まるべき所に収まるもので、売り物を見ていると、ときどき売主の強欲が反映されたものもあるので注意しなければなりません。

 

買い手は少しでも安く買いたいので、安いものを見つけると、「お買い得かどうか」を自分なりに判断しようとします。実際はとても難しい作業ですが、気に入れば他人が高いと思っても自分は安いと感じてしまうものでもあります。

 

安いかどうかを測る物差しは見つからず、特に新築マンションは売り方の巧拙もあって、安いと錯覚させられることもあるようです。一見安い新築マンションがあっても、実は高いとする専門家の判定も少なくありません。

 

また、高いと承知した場合でも、将来性がある地域・街なので結果的に安い良い買い物と期待してしまいそうな物件もあります。

 

新築マンションの住戸別の価格を比較して割安な部屋はないかと探す人があります。

これはあまり意味がありません

 

割安に見える部屋は、実は何か問題になりそうな部屋である場合が多いものです。1だから安い、間取が良くないから安い、玄関前にエレベーターホールがあるから安い、バルコニーの先に隣の住戸が半分せり出しているから安いといった実例は枚挙にいとまがありません。

 

安いので「なぜ」と売主に聞くと、「問題があるから安い」と分かります。しかしながら、理由は分かったが、それだけの理由でこの価格なら安い、これはお買い得だと判錯覚させられてしまう人も少なくないようです。

 

実際は「その条件ならもっと安くないと」と筆者はお答えすることが多いのです。お買い得住戸を見つけたと、まるで鬼の首を取ったように喜ぶ人もありますが、実はそうでもないこともあると知っておかなければなりません。

 

1階住戸はとても売りづらいのです。2階より300万円も安いとお喜びかもしれませんが、リセールのことを考えるともっと安く買いたいですね」筆者はこう助言する場合があります。

 

ルーフテラス付きの角部屋は確かに価値があるのですが、実は価格ほどの価値ではないことが多いのです」

 

タワーマンションの場合、眺望価値の差で上下の価格差が設けられていますが、リセール時には新築時の価格差ほどの差が付かないことも多いのです。 ですから、眺望価値と価格差には気を付けないといけません。

 

<新築マンションの値付けの舞台裏>

マンション業者の値付けを担当する人は販売のプロです。実際の価値とは別の物差しで価格を決めています。

 

1階住戸はもっと安くしないと売れない。ルーフテラス付き住戸は思いきり高くしても必ず売れる。角部屋は強気でもいいが、中部屋は数も多いから、できるだけ安くしたい。安くした分を角部屋にONしよう。ここと、ここは目玉住戸にして宣伝効果を上げようなどと彼らは考えます。

 

エレベーター前の住戸は嫌う人が多いから少し安くしておこう。ゴミ置場が近い部屋もそうだね。東南の角部屋でもここは線路沿いだから真ん中と同じ単価にした方が良さそうだ。10までは前のマンションが障害になるから下げておこう。11から上の部屋と差をもっと大きくしておこう。いやいや、前のマンションまで50も距離があるのだから、差は小さくていいだろう。

 

はっきりした差をつけると欠点が浮き彫りになるので良い策ではないよ。でも、間には向こうの駐車場があるから、音の問題を気にする人もいるし、上下格差は広く取っておこう。この間取りは、人気が出ないと思うから安くする方がいいな。

 

キリがないので戸程度にしますが、このような議論を少数の担当者間で戦わせながら価格案を作り上げます。当然、全住戸の合計は売上計画を下回らないようにします。

 

価格案ができたら、その中から何戸かを「価格案」として商談の中で顧客に提示します。しかし、「決定ではないので、この表はお渡しできません」と担当営業マンは言います。

 

変わる可能性が高いからです。うっかり渡してしまうと、値上げしたときに苦情を言われるのを嫌うためでもあります。 見せた以上、しかもメモを取ってしまうなら同じことではないかという気もしますが、証拠物を残さないほうが良いという考え方があるのでしょう。

 

ともあれ、案として提示した価格が顧客の支持を得られるかどうか、反応を見る必要があります。プロといえども、売り出してみるまでは買い手の志向は分からないということなのでしょう。不人気住戸、人気住戸を把握するための重要なテストという位置づけです。

 

人気住戸は高くし、不人気住戸は安くする。そうして利益は落とさないようにしたいので、000万円~000万円までと幅を持たせたり、000万円台という表現を用いたりして値上げの可能性を残すという方法が一般的です。 安くすることにクレームをつける検討客はいないはずですが、値上げは神経を使うというわけです。

 

こうして第1の販売を始めるまでには高くても売れそうな住戸の位置(向き・高さ)や人気の間取りタイプなどを顧客の反応から見定めます。

 

中には、もっと安くしないと売れない列や住戸タイプがあると知らされることもあり、その下げた分の原資が人気住戸を上げただけでは足りないという場合もあります。仕方なく、売り上げ全体を下げる(利益を削る)という判断に至ることもあります。

 

こうしてできた住戸別の価格表は、「戦略的な値付け(目玉商品を設けること)」にした例外もありますが、原則として住戸価値なりの値段になっているものです。

つまり、安いと思った住戸を見つけても大抵は安い理由があるものです。

 

<強気な業者査定に従う中古マンションの売主>

今度は中古の価格ですが、こちらは比較的リーズナブルと考えた方がいいようです。というのも、個人のオーナーさんは、仲介業者に意見を聞き、業者は市場価格を調べて「査定価格」を提示し、その後にオーナーさんは売値を決めているからです。

 

5000万円の査定と出た我が家を20%も高く6000万円と値付けしても殆ど意味がないからでもあるのですが、オーナーさんによっては、それでも無理を承知で高値の売り出しを図る人もいますから、注意をしなければなりませんが、多くのオーナーさんは5%程度のONに留めて売り出します。 5%は買い手から見て、価格交渉の成功限度と言えるものです。

 

また、業者の査定額がそもそも高いということもあります。業者は売りの依頼をたくさん取りたいという思惑があるので、高めに査定をして依頼者の売主を喜ばせようとするからです。この点も注意しなければなりません。

 

安いと感じたら、どこかに欠点があると思った方が良いのです。「内覧時は気付かなかったが、夜間の道路騒音がひどい」とか、「近所のコンビニ店の駐車場が不良グループのたまり場だった」といったこともあるのです。

 

尚、業者が仲介でなく売主になっている「リノベーション物件」は、強気な売値という場合が多いので、こちらも要注意です。

 

<安いと感じた新築マンション。理由をしっかり分析しよう>

安いものを探す努力は、しばしば大きな過ちを犯します。

人気がないから安い。需要が少ないから安い。それは都心の人気エリアの中にも潜んでいます。人気マンションと聞いているが、なぜか安い住戸がある。欠点が隠れている住戸ではないのか?人気があるというけど、本当はまやかしではないのか?そう疑ってみましょう。

 

安いのはおかしい。安いのは気付かない何かがある。そう思った方が正しいのです。不動産には穴場や掘り出し物などはない、そう言っても過言ではありません。

 

ときどき格安なマンションが発売されることがあります。興味を持って広告の建築概要を見てみると、安い理由は直ぐに見つかります。ほぼ例外なく、最寄り駅から遠いとか、半地下住戸だったりします。土地が定期借地権という場合もあります。

 

ほかには、建設地の環境が劣悪であるために安いというケースも見られます。更には、都心から遥かかなたの駅が最寄りというケースもあります。

 

マクロ的に見た場合、飛び抜けて安いマンションは、交通便が悪いか、環境が悪いかのどちらか、またはその両方です

 

工場は閉鎖され、広い敷地を取得した企業によってマンション開発が行われます。都市計画上、そこは「工業地域」のままです。何故か工業地域にマンション建設は許可されるのです。

 

ご承知のように、産業の空洞化で工場跡地は無用の長物になったのです。広い敷地は買い手がつかず、極端な低価格でも取引が成立しにくくなっています。

 

最後に現われる土地の買い手であるマンションメーカーは、居住条件が悪くても、価格が激安なら販売は可能との計算をします。敷地が広いので、建築計画は余裕のある条件下で行われます。高さも程々に抑え、シンプルでバランスの良い経済的な構造で計画されます。安いだけでなく、素晴らしいプランが出来上がります。

 

周辺に緑が少ない地域であることのデメリットを補うために、敷地内の植栽計画は十分に練られます。敷地内には、散策路や住民交流を促す広場、子供たちが伸び伸びと遊べそうなワンダーランドなどが用意されます。

 

「環境創造型開発マンション」などと業界では言います。自走式の駐車場、大規模物件ゆえにキッズルームやパーティルームといった様々な共用施設も建物内に設けられます。

 

また、東日本大震災で関心を呼んだ省エネ意識は「太陽光発電装置」への需要の高まりを見せていますが、一時は電気代が半分になりそうな戸別供給方式を採用することで駅から遠い欠点を差し引こうとした物件もありました。

工場跡地のマンションは、敷地が広いので、全住戸分の太陽電池を設置する面積を必要とする大きな屋根ができますから、うってつけです。

 

駅から遠いマイナスを補うために、最寄り駅との間をマンション専用のシャトルバスが運行される例もあります。また、スケールメリットは管理費や修繕積立金を割安に設定することも可能です。

 

欠点・デメリットの多くは、企画段階で全て払拭されたかのようです。その上、分譲価格は驚くほど安いのです。販売に当たっては、いかにも緑が多そうな敷地、魅力満載のプランが、やや誇張された絵として広告上に踊ります。

 

安さは住戸プランの充実を生みます。「広々プランが000万円から」というコピーがLDKの間取りとともに、3LDKプランも「ゆったりリビング」を強調して広告紙面を飾ります。

 

こうして、安くて魅力たっぷりのマンション開発計画は販売開始となるのです。しかし、そのマンションが高い価値を持つかというと、そうでもないものが多いのです。

 

安いマンションを検討する人の動機は、「広いから」、「理想の間取りだから」ということのようです。しかし、この種の廉価なマンションは止めておいた方が良いと助言することが多いのです。

 

<都心の高級住宅地でも格安マンションがある>

条件が悪いとは言えない場所に、格安のマンションを発見するときがあります。それらは、都内で有数の高級住宅地、またはブランド地に建設されます。青山、赤坂、麻布、広尾といった憧憬の地に「えっ!」と驚く価格で売り出されることがあるのです。

 

小規模で変形の敷地や裏通りの土地」に安さの理由があります。高級住宅地は、本来ならたちまち買い手が付きます。しかし、変形敷地や道路付けが悪い敷地条件は買い手が集まりにくいものです。

 

条件の良い土地には、マンション業者ならずとも魅力を感じる買い手が多く、争奪戦が展開されるものです。反対に、条件の悪い敷地には買い手が付きづらいのです。

その結果、元々安く売り出された価格が下方修正されます。そして、やがて大手ではないマンションデベロッパーによって買われます。

 

マンション価格に占める土地原価の割合が高い都心マンションの場合、土地が安く取得できれば分譲価格は目立って安くできます。

 

しかし、変形敷地、小規模敷地、あるいは道路付けの悪い敷地上に造られる建物は、あまり恰好の良いものではありません。スケールも小さく、見栄えがしません。共用部も豪華で立派なものにはなりえません。

 

無理な設計をすることも多く、北向きの住戸がたくさんできてしまったり、半地下の住戸を設けていたりします。高級マンションのはずなのに、駐車場が2しかないなどという例もあります。

つまり、工場地帯のマンションと異なり、都心の安値のマンションは、場所ではなく建物の価値が低い物件となっているのです。

 

<条件の悪さは将来も変わらない?>

駅から遠い、周りは工場ばかりといった悪条件は将来変わるでしょうか?言うまでもありませんが、駅からの遠さは未来永劫変わらないと思った方が良いのです。

 

また、変形敷地や小規模敷地に建てられた小型で不格好なマンションは、建物が存続する間、価値を高める要素は生まれにくいものです。

 

このようなマンションの売却は困難です。分譲時は価格の安さで買い手を集めることが可能ですが、中古になると難しくなるからです。

新築分譲の時は、大々的なキャンペーンを行います。メディアを総動員し、ときには有名人をキャラクターとして登場させて関心を引きます。攻勢をかけるわけです。

 

中古になると、これらが一切ありません。中古市場の片隅にひっそりと置かれるというイメージで、販売は受け身になります。

その中で買い手を集めるには、魅力的な価格を提示することが必須です。つまり、立地条件に優れたマンションや恰好の良い上質なマンションが、新築並みの価格を維持し続けているのとは対照的に、より安く目立つようにしなければ買い手は付かないのです。

 

ところが、多くの人々は購入価格が安ければ将来の売却価格が低くても、損失は大きくないと考えてしまうようです。言い換えれば、安く買ったのだから損はないという錯覚です。

 

しかし、実はそうではないのです。分かりやすく説明すると、100円で買った商品は20年先に50円になり、1000円の商品は逆に1500円になるといったことが不動産の世界では普通の現象です。

 

適当な比喩ではないですが、極論すれば、売り物が殆んど無い「銀座」の土地には、どんなに高くても買い手が集まり、どんなに安くても北海道の原野には買い手がつかないのと同じです。

 

<安さに飛びついてはいけない>

ある日、駅から遠かったマンションの前に新駅が誕生したら、そのマンションの値打ちは一気に上がることでしょう。工場地帯が急変し、住宅地に完全脱皮できたら、それも価値を向上させることでしょう。しかし、そのような可能性は、現代では夢のような変化です。

 

高い物は稀少な物だから高いのであって、将来もその稀少性が持続すると考えられるならば、価格は維持されるのは当然です。

対照的に、安いのは人気がないからです。これらは、経済原則です。安さに飛びつくと、後で大きな損を被ります。「安物買いの銭失い」を地で行ってしまうと言い換えましょう。安さに飛びつくことは避けなければなりません。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらからhttp://www.syuppanservice.com

 

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